
いま社会を賑わしている日大大麻問題。
日大理事長、学長、副学長の3名が昨日15時から2時間以上にわたって記者会見を行ったのをネット配信で最後まで観た。
日本大学アメリカンフットボール部の学生寮で暮らす部員が、大麻と覚せい剤成分が含まれた錠剤を所持していたとして逮捕されてことに対しての謝罪・説明会見だった。
実は、私は日大OBであり、
かつ林真理子理事長と同じ芸術学部だったことで、
林さんが新理事長になったことをポジティブに捉えており、
その発端となった事件を筆頭に日大にはびこる不条理を一掃してくれることに
かなり期待していたし、陰ながら応援と感謝の気持ちも持っていた。
そして、この事件とこの記者会見に繋がる。
詳細な事実関係やそれについての是非を詳しく語るつもりはないが、
あの会見を通して思ったことは
・全体を通して、日大OBから見ても、ひどい会見だった。
・その最たる点は、「自己(自校)防衛」を最優先した姿勢であったこと。副学長は配下の部長陣を肯定し、学長はその副学長を肯定し、林理事長すら副学長と学長の行動と判断を肯定したことだ。現場を管理する部長陣がスポーツ部門統括責任者である副学長に長きに渡り事件の詳細を報告していなかったにもかかわらずだ。さらには副学長が自分の判断で12日間も証拠物を保管していることを隠蔽とは心外だ、とまで言い切っているのだ。これでは何が悪かったのか全く分からない。誰も悪くない。唯一は逮捕された学生だけが悪者だ。本来であれば、問題の真相を明らかにし、その点を謝罪し、改善策を提示することこそが会見というものだ。
・もう一つの点は、林理事長の説明力の拙さと副学長の高圧的な説明が際立ち、聞いている側が不愉快になる印象だった。林理事長は著名で有能な文筆家であり、言葉の持つ力を十分に理解されているはずなのに、語彙力も無く、素人の感情的なコメントばかりに私は悲しさを覚えた。一方の副学長は元検事ということもあり受け答えはハッキリしていた。しかしその返答は一見温情を重んじた判断ように聞こえるがその実、自分たちの判断と行動を正当化する防御的返答に明け暮れていたと強く感じた。副理事長のこの返答に対しこのあとも次々と食い違いや矛盾が現れ、論理自体の誤謬が明らかになっていくだろう。
このまま書き連ねていてもキリがないのだが、
会見が2時間を超えたあたりから林理事長に紋切り型の受け答えから自分の考えを自分の言葉で答えようという変化が出たことが唯一のそしてとてもかすかな光明だったと言える。(コメント自体は下手糞すぎたが。)
この謝罪・説明会見から感じることは
・自分たちの論理で押し通すのではなく、一般の人の感覚において合理的・倫理的な姿勢で納得性を持って臨むことが大前提であるべきだということ。コンプライアンスやガバナンスという言葉が受け持つ意味と意義をしっかり理解すべきだ。
・そして、この逮捕された学生だけが正直者のために損をする、というような最悪の結果だけは避けて、警察は全力を尽くして真相を明らかにして欲しい。
誰がどう考えても、このたった一人の部員の麻薬所持という事件がこの問題の全体像だとは思わない。連帯責任の必要性を問うことも大切だが、それはこの逮捕された人間以外はまったく無関係だったということがわかってからの話だ。(そのうえで、まったく無関係だった部員への連帯責任はナンセンスであるということは付け加えたい)
日本大学の改革はまだこここからスタートだ。
筆:黒沢