2019.11.27
JOKER
米国はもちろん日本でも話題になっていると聞き、
遅ればせながら週末に『JOKER』を観てきた。
アメリカンコミック『バットマン』に登場する悪役ジョーカーの誕生秘話とのこと。
一方、映画自体はそんな枕詞を吹き飛ばす、暗く重い社会風刺ストーリーだった。
この映画の評価は極端に賛否二分される。
アメコミだと思うと散々かもしれないが、
この映画の本質は現代社会ドラマなんだと思う。
そう思って観ると、
この作品がヴェネツィア国際映画祭「金獅子賞」受賞作品の訳がよくわかる。
現代社会の暗部に潜む人間の不幸が赤裸々に描かれ続け、
貧富の差や障がいによって人生が決めつけられる理不尽さを
ジョーカーというメタファーが主張しているのだと思う。
心優しい一人の青年が、なぜジョーカーになってしまったのか。
現代社会に仕掛けられたトラップの怖さを思い知るとともに、
その落ちていく経過を探っていくほどに、
そして、ほんの小さなきっかけの連続だったことに気が付くほどに、
正義と悪が紙一重であることに思い至る。
そして、もう一度観たい、という衝動に駆られる自分がいる。
そんな印象深い映画であった。
筆:黒沢