2024.03.11
銀座で訪日外国人価格に思う
3月のよく晴れた昼間、仕事のあと所用で銀座を通った。
銀座大通りはハイブランドショップの個性的なビルが林立し、
どこにもドアマンが常駐し、出入りする客はたぶん全員が訪日外国人客のようだし、
通り自体も外国人のほうが多いくらいだ。
東銀座や築地などでは訪日外国人目当ての飲食店が軒をそろえ、
外国人が楽しそうに食べ歩きをしている姿が目に付く。
最近、インバウンド目当てのお店の単価が急激に上がって
一般の日本人には手が届かない実情になっているとの記事やSNSでの声が頻繁にある。
海鮮丼やウニ蟹牡蠣や和牛ステーキ串と言った日本ならではの食事が、
5000円~1万円の単価でも外国人は「本国より安くて美味しい」と言って盛況だとのこと。
それに対して、便乗値上げだのボッタクリだの、日本人を無視しているだの商売が汚いだの、
批判的な声もよく聞く。
個人的な見解だが、
粗悪なモノを高級と偽って売りつけたり、
いままで1000円だったものを売れるからと言って5000円にするとか、
不条理・不合理な値付けは言語道断であり、商売の倫理に反すると思う。
一方で、いままでの常識ではそんな高級なモノは売れないから
そこそこの品質で庶民の感覚に沿った金額で提供していたものと、
もともとの値段:品質の設定が違うのであれば、その金額もあり得て当然ともいえる。
たとえば、私が暮らす二子玉川でも、
我が家が日常のスーパーで購入する食料品の価格に比して、
百貨店や専門店が自店の看板を背負って自信を持って提供する品物は
同じ品物で同じボリュームでも3倍も5倍も高い場合が多い。
それでも、(それを欲する余裕のある消費者には)当然のように受け入れられてきている。
なにも外国人にだけボッタくっているわけではなく、
そもそも商売とはそういうものであるのだ。
いま、急激に増えたインバウンド需要に便乗し、
そのような問題が取りざたされているが、
もうしばらくすれば、価値と値段のつり合いがとれた商売へと落ち着いていくと
私は考える。ボッタクリは淘汰され、高品質は選ばれ、リーズナブルは歓迎される、
そんな成熟した観光文化に日本もなっていくことを願う。
筆:黒沢