2021.10.28
心理的バイアスに立ち向かう
少し前の日経新聞の記事に
危機や災害時に起きうる6つのバイアスというコラムが掲載されていた。
その話の出典となっていたのが、
ロバート・マイヤー氏らの「ダチョウのパラドックス~災害リスクの心理学」という本だ。
簡単にまとめると、
人間には大きな危機や災害に対し心理的なバイアスが働き、
その備えや回避を怠り甚大な被害に至ることが、
大昔から最先端技術や情報網が発達した今日でも簡単に起こりえる、
その原因のひとつが心理的バイアスであって、
そうならないための解決策を提示しているものである。
まさに史上まれにみるコロナ感染症への日本政府や社会の対応が
このバイアスに侵され災害リスクを拡大させていたように思う。
ちなみに6つのバイアスとは
1、近視眼的思考癖:災害対策コストと潜在的利益を目先の時間軸で判断する傾向
2、忘却癖:過去の事件、災害の教訓を早く忘れる傾向
3、楽観癖:将来起きうる損失を過小評価する傾向
4、惰性癖:新しい対策があっても現状を維持する傾向
5、単純化癖:意思決定の際に要因の一部だけ注意を向ける傾向
6、同調癖:ほかの人に合わせて行動を決める傾向
ということだ。
災害のときはもちろん、
仕事や日常の生活の中での判断にも影響を与えていることが、
この6つの癖を自分に当てはめてみると身に染みてわかる気がする。
ちなみに、この本のタイトルになっている「ダチョウ」は飛べない鳥として有名だが、
実は、飛べない欠点を克服して、
世界で最も速い逃げ足を武器にした危機管理能力の高い動物とのこと。
心理的バイアス=欠点を克服し、次こそは災害から逃れられるように、
との意味が本書のタイトルに込められているそうだ。
我々も日常生活の時から心理的バイアスを意識しつつ
物事の判断に役立てていきたいと切に思う。
筆:黒沢