
先日、大阪でのイベント現場の帰りに、京都の「山崎蒸留所」に
行ってまいりました。
今回の大阪のイベントとはウィスキーに関係していたものだったので、
蒸留所の見学はマストで必要かと思い、フラッと立ち寄り。
以前、白州の蒸留所には行ったことがあったが、
森林に囲まれた緑の蒸留所なイメージだった白州に比べ、
山崎はずいぶんと町に隣接している蒸留所だな…という印象。
蒸留所のゲートをくぐっても、そこはまだ公道で、小学生が黄色い帽子を
かぶって下校している。
私は1時間に1回行われている蒸留所見学に参加した。
まずつんとした穀物を蒸したような香りが漂う発酵室に案内される。
この状況下で作られたアルコール過程はビールと同じ状態。
ウィスイーの原料は、麦とイーストとおいしい水。
山崎には、千利休も愛したという名水が湧くのです!
続いての部屋は、強いアルコールの香りが充満している蒸留釜:ポットスチルの
部屋。
ウィスキーは合計2回蒸留されます。
ポットスチルの形状も様々。
ポットスチルの形状がおだんごが二つ重なっているようなものは、蒸発する
アルコールが窯のなかで滞留し、
余計な成分が落とされるために、すっきりとした味わいに仕上がる。
そしてまるで三角フラスコのような形状の窯は、蒸発するアルコールがそのまま
出口に向かうため、
様々な成分が一緒に蒸発し、重厚な深みを持つ味わいに仕上がる。
そこでできたウィスキーの素は、どうも麦焼酎のような香り。
続いての部屋が、何年も樽の中でウィスキーが眠る貯蔵室。
部屋の中はひんやりとし、そしてオーク樽の香りと、その香りに混じったウィスキー
のなんともいえない芳醇な香りが漂う神秘的な空間。
樽の中で眠っているウィスキーは呼吸をするのだそう。
その呼吸を助けるため、貯蔵室は一切エアコンを使用しない、自然の温度にゆだねる
のだとか。
夏は樽の中で膨張したウィスキーは、冬の寒さの中でぎゅっとおいしさを閉じ込め、
それを何年も繰り返す。
樽の種類や、寝かせる年数によっても、その味わいは大きく違いが
出ていくるのだとか。
貯蔵室の中の好きな話があります。
何年も寝かされたウィスキーは、夏の蒸発も相まって、
どんどん少なくなっていくのだとか。
10年に比べて20年のウィスキーは樽の中のアルコールが半分以下に
減ってしまう。
ただし、少なくなっていく過程でをウィスキーの味わいも深まり、
おいしくなっていくのです。
そのウィスキーが減っていく現象を人は「天使の分け前」と言って、
天使がちょっとづつ味見をしているからウィスキーが少なくなっていくのだ、
と考えていたそうです。
最後に山崎の名水がわき出る泉の横を通り、試飲会場へ。
途中、案内をしていたお姉さんに尋ねました。
ウィスキーを作るのに必須な「ピート」という泥炭があります。
これは発酵過程で必要な泥炭で、そのピートからでる煙もおいしい味わいを
生む要素の一つとなるのです。
ピートの香りが強く香ると、スモーキーな味わいがプラスされる、という具合に。
そんなピートというのは、日本でもとれるものなのか、と。
そもそも、山崎の山にはピートもあるのか、と。
しかし答えはNOでした。
ピート自体はスコットランドから乾燥して輸入をしているのですって。
ということは、山崎は山崎という土地が生んだウィスキーではあるが、
実際に原料を細かく突き詰めていくと、純ジャパではないということが
判明いたしました。
聞かなかったけど、たぶん麦も…。
とはいえ、日本の名水が生んだ山崎。
私は試飲会場で山崎12年の水割りを美味しく頂きました。
山崎の名水のチェイサーとともに。
ウィスキーって、本当に森を感じさせるというか、落ち着く飲み物なんだなー。
と周りには関西おばちゃんたちのトーク威力に負けないよう、
一人、まったりと世界に浸るのでした!
ウィスキー蒸留所見学、本当にお勧めです!
近場の白州は絶好の癒しスポットに間違いありません。
おいしい水に、おいしい空気に、癒される香り。
ウィスキーが更に好きになったひと時でした。
筆:おがわ
2009年12月1日 am10:00